陸蒸気
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囲炉裏の炎に心躍る。中野「陸蒸気」で出会う、極上の原始炭焼
東京・中野。多様な文化が交差し、絶えず新しい何かが生まれるこの街で、時が止まったかのような圧倒的な存在感を放つお店があります。それが、今回ご紹介する「陸蒸気(おかじょうき)」です。

ここは、ただの居酒屋や和食店ではありません。店内に足を踏み入れた瞬間、誰もがその光景に息をのむはず。そこにあるのは、巨大な「囲炉裏」。燃え盛る炭火、パチパチと爆ぜる音、そして、立ち上る香ばしい煙。

この記事では、都会の喧騒を忘れさせ、食の原点とも言える「火」の力強さを五感で味わえる「陸蒸気」の魅力と、訪れたならぜひ体験してほしいメニューの数々をお届けします。

 

お店の基本情報

店名: 陸蒸気 (おかじょうき)
住所: 〒164-0001 東京都中野区中野5丁目59−3
アクセス: JR中央・総武線 / 東京メトロ東西線 中野駅北口より徒歩約3分
ウェブサイト(食べログ): https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131902/13000216/
特徴: 原始炭焼、囲炉裏、新鮮な魚介
炎を囲む、特別な時間。五感を揺さぶる体験
中野駅北口の賑やかな通りから一本入ると、そこだけ空気が違うような重厚な構えの建物が現れます。それが「陸蒸気」です。

引き戸を開けると、まず目に飛び込んでくるのは、お店の中央にどっしりと鎮座する巨大な囲炉裏。そして、その周りを囲むようにして、無数の魚が串に刺され、炎に向かって並べられています。まるで、古くから続く漁師の宴に迷い込んだかのよう。

店内は、太い梁や柱が印象的な民芸調の造り。照明は少し落とされ、囲炉裏の炎が主役として空間を照らしています。この非日常的な雰囲気こそが、陸蒸気の最大の魅力かもしれません。

ここでは、職人さんたちが絶えず火加減を調整し、魚に串を打ち、最適な場所へと移動させる姿を間近に見ることができます。それは単なる「調理」というよりも、一つの「儀式」のようにも見えます。

コストパフォーマンスについても触れておきましょう。メニューに並ぶ魚は、その時々の最良のものが選ばれており、決して「安価」な居酒屋ではありません。ですが、この圧倒的な空間演出、目の前で繰り広げられる職人の技術、そして炭火でじっくりと旨味を引き出された食材の味わい。そのすべてを「体験」として受け取るならば、これほど満足度の高い時間もそうそうないはずです。「記憶に残る食事」を求めている時、ここは間違いなくその期待に応えてくれる場所です。

 

炎が育てる、極上の一皿。おすすめメニュー

陸蒸気の主役は、もちろん囲炉裏で焼かれる「原始炭焼」。素材の水分と旨味を閉じ込めつつ、余分な脂を落とし、炭火特有の香りをまとわせる、最も古く、そして最も贅沢な調理法です。

今回は、数あるメニューの中から、特に印象深かったものをご紹介します。

【特大きんき(または、のどぐろ)】

お店の真骨頂とも言える、高級魚の炭火焼。この日は立派な「きんき」を選びました。

注文が入ると、職人さんが丁寧に串を打ち、囲炉裏の「遠火」に立てかけます。強い火力で一気に焼くのではなく、じっくりと、時間をかけて火を通していくのが原始炭焼の特徴です。

待つことしばし。運ばれてきたきんきは、皮目が黄金色に輝き、パリッと香ばしく焼き上がっています。箸をそっと入れると、まず皮の張りに驚かされます。そして、その下から現れるのは、湯気とともに「ジュワッ」と音を立てて溢れ出す、透明な脂。

その身を口に運べば、まず感じるのは驚くほどの「ふっくら」とした食感。パサつきなど一切なく、しっとりとしています。噛みしめるたびに、凝縮された魚本来の甘みと旨味が、炭火の香ばしさと一体となって押し寄せます。シンプルな塩味だからこそ、素材の持つポテンシャルが最大限に引き出されているのが分かります。

【鮭はらす】

定番中の定番ですが、ここ陸蒸気で味わう「はらす」は格別です。

きんき同様、囲炉裏でじっくりと焼かれたはらすは、表面がカリッとしている一方で、中の脂はとろけるような状態。滴り落ちる脂が炭にかかり、また一段と食欲をそそる煙が立ち上ります。

熱々のうちに頬張ると、その脂の甘みと塩加減のバランスが絶妙です。これと白いご飯、あるいはキリッとした日本酒があれば、もう他には何もいらない、と思ってしまうほどの多幸感。脂が乗っているのに、炭火のおかげで不思議と重たくないのも特徴です。

【焼きおにぎり】

食事の〆には、ぜひ「焼きおにぎり」を。

これももちろん、囲炉裏で焼かれます。丁寧に握られたおにぎりに刷毛で醤油が塗られ、火にかけられると、あの、日本人なら誰もが心惹かれる香ばしい匂いが漂います。

表面はカリッと香ばしい「おこげ」の状態。中はふっくらとしたご飯。囲炉裏の香りをまとったおにぎりは、素朴でありながら、これ以上ないほどの贅沢な〆の一品です。添えられたお漬物との相性も抜群でした。

また、こちらはお通し(この日は、ホクホクのじゃがバターでした)からして、ボリュームと心がこもっており、最初のひと口から満足感が始まるところも付け加えておきます。

 

まとめ:火を囲む豊かさを、今こそ。

「陸蒸気」は、単に美味しい焼き魚を食べるためだけのお店ではありません。ここは、私たちが日常ではなかなか触れることのできない「火」の力強さと、食材が持つ本来の美味しさを、五感すべてで再発見させてくれる場所です。

忙しい日々を送っていると、食事もつい効率やスピードで判断してしまいがちです。

けれど、ここでは赤々と燃える炎が揺らぐのを見つめ、じっくりと食材が焼けていくのを「待つ」。その時間そのものが、何よりのご馳走なのだと気付かされます。

手間ひまをかけて丁寧に仕上げられたものを、ゆっくりと味わう豊かさ。そういった、私たちが忘れかけている大切な感覚を、この空間は静かに思い出させてくれるようです。
本当に美味しい魚を心ゆくまで味わいたい時。

大切な人と、ただ食事をするだけではない、記憶に残る特別な夜を過ごしたい時。

中野「陸蒸気」の囲炉裏の火は、きっと訪れる人の心をも温かく照らしてくれるはずです。

 

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